
ツインバードは2026年10月28日、全自動エスプレッソ&ラッテマシン「匠バリスタエスプレッソマシン(CM-D495B)」を発表しました。11月12日12時からMakuakeで先行販売を始め、12月9日に同社のECストアや家電量販店、専門店で一般発売します。価格は9万8780円(税込)で、カラーはブラックの1色です。
同社のプレミアム家電「匠プレミアムライン」の新製品で、監修は日本人初の「バリスタ・マエストロ」である横山千尋氏です。豆挽きからタンピング、抽出、ミルクの投入までを自動で行い、本体幅は18.5cm。豆挽きからミルク抽出まで全自動で行える国内主要メーカーの現行モデルのなかでは、最小幅だとしています(2026年10月時点、同社調べ)。
開発の出発点は「ドリップでは出せない一杯」
ツインバードがコーヒー家電に参入したのは38年前です。1988年発売のコーヒーメーカーを皮切りに、家庭用のサイフォン式コーヒーメーカーや、カフェ・バッハの田口護氏が監修した全自動コーヒーメーカーなどを手がけてきたと振り返りました。匠プレミアムラインの全自動コーヒーメーカーと「匠ブランジェトースター」の出荷台数は、2026年9月末時点で合計24万台を超えているとのことです。

ドリップコーヒーで評価を得てきた一方で、ドリップでは抽出できないエスプレッソやラッテ系の需要もあるのではないか。これが開発の起点になった仮説です。同社が紹介した調査では、普段コーヒーを飲む人のうち3割が今後飲みたいコーヒーにエスプレッソを挙げ、半数以上がコーヒーにミルクを入れて飲んでいるとのことでした。

企画を担当した相原氏自身は、それまで本格的なエスプレッソを飲んだことがなく、苦くて濃い、通が好むコーヒーだと思っていたそうです。横山氏が新潟在住だった縁で、新潟で開かれた横山氏のセミナーに参加したところ、そのイメージが変わったと話していました。苦みはあるものの、まろやかで嫌な苦みがなかったといいます。

この一杯を特別な場所ではなく日常で飲めるようにしたいというツインバード側の考えと、イタリアのエスプレッソやラッテを正しく伝えたいという横山氏の考えが重なり、開発が始まりました。

クレマとミルクフォームを作り直す
開発は、横山氏からイタリアのエスプレッソの定義を教わるところから始まったそうです。イタリアのエスプレッソは、豆量7g、抽出温度90℃、抽出時間25秒といった条件が数値で細かく決まっています。

当初の試作機は、エスプレッソとミルクフォームの両方に課題を抱えていました。エスプレッソは表面の泡の層(クレマ)が薄く白っぽい、濃厚さが足りない、表面が粗いといった状態。抽出温度や豆量などを横山氏のアドバイスをもとに調整し、茶色く艶のあるクレマが出るところまで詰めたとしています。

ミルクフォームは、表面にクレーターのような穴ができる、ミルクの甘さが出ない、温度が低い、という3つの課題があったとのこと。本機は本体から出した蒸気で、正面のダイヤルの隙間から空気を取り込んでフォームを作る構造です。相原氏によれば、蒸気が通る穴と空気が通る穴の径を0.1mmの範囲で調整していき、きめの細かいフォームに仕上げたといいます。

6メニューと3つのモード
抽出メニューはエスプレッソ、アメリカーノ、カプチーノ、ラッテマッキャート、ミルク、給湯の6種類です。グラインダーはエスプレッソ向けの極細挽きができるコニカル式で、ポンプは最大19気圧。コーヒー濃度はRICH/MID/LIGHTの3段階、挽き目は5段階から選べます。


モードは、ミルクの比率を通常より増やす「ミルクプラス」、エスプレッソを2杯同時に抽出する「2杯抽出」、タンブラーなどに大容量で抽出する「ラージ」の3つです。ミルクプラスについて、相原氏はイタリアのカプチーノに近い甘さが出るモードだと紹介していました。タッチ&トライのスタッフによると、通常モードよりミルクが5ml程度多くなるとのことです。

お手入れ面では、コーヒーとお湯の抽出経路を電源のオン/オフ時に自動洗浄し、ミルク経路はワンタッチで洗浄できます。ミルクユニットは分解して水洗いが可能です。

横山氏「家庭用なら100点」
デモンストレーションを担当した横山氏は、「今回のこだわりはエスプレッソマシンじゃないんです」と切り出しました。こだわったのは「イタリアの」エスプレッソを出すマシンである点で、イタリアのエスプレッソを作る機械なら協力したいと考えて引き受けたといいます。
横山氏によれば、国内にエスプレッソを出す店は多いものの、イタリアから認定を受けている店は13軒しかありません。寿司に例えると、自分たちがやっているのは江戸前で、ほかはカリフォルニアロール。バリスタという言葉も本来はコーヒーを淹れる人ではなく、イタリアに約15万8000軒あるバールで働く人を指すもので、イタリアでは免許制だと横山氏は続けました。

おいしいエスプレッソは、豆が50%、機械が25%、バリスタの腕が25%で決まると言われているそうです。本機では機械と腕にあたる半分をマシンが担うため、残る豆については、このマシンに合わせたイタリアの豆も作ったと横山氏は話していました。
デモでは、ダブルで抽出したエスプレッソを使って、イタリア式の飲み方を紹介していました。クレマの上に砂糖を乗せ、10〜15回ほど混ぜてから飲む。1口目で苦み、2口目で鼻に抜ける香り、3口目で甘さを感じ、最後にカップの底に残った砂糖をスプーンで集めて食べる、という順です。カプチーノは、家庭用の機械ではミルクが先に落ちるものが多いなか、本機はイタリアと同じくエスプレッソを先に落とし、そのあとミルクをカップの内側に沿わせて注ぐ設計にしています。

ラテアートには対応しません。開発の初期に、ラテアートにも対応する手動型にするか全自動にするかを問われた際、横山氏はラテアートは趣味の領域に近いと考えたと振り返っています。朝起きてスイッチを入れ、歯を磨き、パンを焼いている間にコーヒーができる。ツインバードが目指したのはそうした毎日の流れに組み込める一杯で、横山氏もイタリアの生活のなかにあるエスプレッソを届けたかったそうです。

点数をつけるなら、家で飲むなら100点、店で出すなら点数は下がる、とも横山氏は語っていました。自身が業務で使うマシンはおよそ300万円で、それと比べればこの価格は安い。そのうえで、この価格帯のなかではよくできた製品だと評価しています。

幅18.5cmにした理由
質疑応答では、本体幅を抑えた理由について質問が出ました。回答した岡田氏によると、コーヒー、とりわけエスプレッソは嗜好性が高く、ほかの家電に「買い足す」形で導入されることが多いとのこと。家のどこに置くかを想定する必要があり、幅の広いエスプレッソマシンが多いなかで、スリムさを差別化のポイントにしたといいます。同社のコーヒーメーカーでスリムなサイズが評価されていたことも背景にあるそうです。

構造面ではダブルボイラー式を採用し、エスプレッソの抽出とミルク用のスチームの機構をコンパクトにまとめたとしています。ミルクユニットも、大量のミルクを入れる形ではなく1〜2杯分を入れる前提にすることで、幅に収めたとのことでした。
ただし、幅18.5cmに対して奥行きは約435mm、高さは約380mm、重量は約9.6kgあります。幅の狭いスペースに置ける一方、奥行きはそれなりに必要なので、設置場所は奥行きも含めて確認しておきたいところです。
主なスペック
| 項目 | 内容(仕様) |
|---|---|
| 製品名 | 匠バリスタエスプレッソマシン(CM-D495B) |
| タイプ | 全自動エスプレッソ&ラッテマシン |
| 抽出メニュー | エスプレッソ/アメリカーノ/カプチーノ/ラッテマッキャート/ミルク/給湯 |
| 抽出設定 | コーヒー濃度3段階(RICH/MID/LIGHT)、挽き目5段階 |
| モード | ミルクプラス(カプチーノ、ラッテマッキャート)/2杯抽出(エスプレッソ)/ラージ(アメリカーノ、カプチーノ、ラッテマッキャート) |
| グラインダー | コニカル式 |
| ポンプ | 最大19気圧 |
| 容量 | 水タンク1.8L/ミルク容器300ml/豆ホッパー約280g/かす受け8杯分 |
| 本体サイズ | 約幅185×奥行き435×高さ380mm |
| 重量 | 約9.6kg |
| 定格消費電力 | 1250W |
| カラー | ブラック |
| 価格 | 9万8780円(税込) |
| 発売日 | 2026年12月9日(Makuake先行販売:11月12日〜12月1日) |
まとめ
匠バリスタエスプレッソマシンは、カフェ・バッハの田口護氏と組んだ全自動コーヒーメーカーと同じ「監修者と作る」進め方を、エスプレッソとラッテに広げた製品です。抽出条件やミルクフォームの穴径まで監修者とすり合わせたという開発の話に加え、エスプレッソを先に落とすカプチーノの順番、ラテアート非対応という判断からは、手軽さを優先しながらイタリア式の味を家庭に持ち込む、という方針がうかがえます。

ミルクまで全自動で抽出できるエスプレッソマシンは幅の広い機種が多いジャンルなので、置き場所を理由に導入を見送っていた人にとっては、幅18.5cmという数字が検討材料になりそうです。

